経営難の赤穂市民病院に「まだまだ改善の余地あり」と検討委

社会・行政

赤穂市民病院経営検討委員会の中村隆彦委員長から報告書を受け取る牟礼正稔市長(右)

経営状況がひっ迫している赤穂市民病院(同市中広、360床)の問題解決策を協議してきた「経営検討委員会」は1月20日、「まだまだ経営改善の余地がある」と具体策を挙げながら、「経営形態を変更せずに現行の公立病院のまま持続可能な運営に取り組むことが現実的」との報告書を同市に提出した。

同病院は2005年度から赤字経営が続いており、人口減少や医師不足も影響して毎年のように赤字幅を増やしてきた。一昨年に市の幹部職員で今後の方向性を協議したが、19年度決算で4.5億円の収支改善が見られたため、公立病院の形態を維持して引き続き経営改善に取り組んでいくことで一旦着地。しかし、20年度は新型コロナの感染拡大による受診控えなどで入院・外来ともに患者数が減少に転じ、赤字額が前年度比2.2億円増の10億4千万円に膨らんだ。同時に約13億円の資金不足(債務不良)も生じ、資金不足比率が11.2%と前年度から9.4ポイント上昇、基準値の10%を超えたことで総務省の許可なく起債ができなくなった。

このことから「経営形態の変更も含めた抜本的見直しも辞さない」と決断した牟礼正稔市長から昨年8月に依頼を受け、中村隆彦委員長(市医師会長)をはじめ外部有識者10人で計4回協議してきた。

経営形態変更の手法には地方独立行政法人化や指定管理者制度導入、民間譲渡が考えられるが、委員会は、職員の身分が公務員から非公務員となることでモチベーション低下や離職につながるといったマイナスの側面を憂慮。「必ずしも安定的な病院経営が確保できることにならない」と選択肢から除外した。

また報告書では、企業債の償還が終わる27年度までが正念場だとして、小児・周産期医療の見直しやPET-CT(断層撮影装置)の廃止とライナック(放射線治療機)の更新中止など今後の経営改善策を列挙。▽地域包括ケア病棟の受け入れ強化▽術前検査の外来での実施徹底▽時限的な勤勉手当の削減▽市出向職員の段階的削減▽退職の医療技術者の不補充─などに同時に取り組むことで年間5~6億円の経営改善効果があると試算した。院内ガバナンスを高めるために病院経営に精通した病院事業管理者を置くことも提言した。

中村委員長は「協力は惜しまない。市民総参加による再建を」と付言。牟礼市長は「内容を十分に尊重して経営改革に取り組みたい」と深々と頭を下げ、報告書を受け取った。

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