国宝「山鳥毛」取得に学ぶ

コラム

瀬戸内市を訪ねた播磨の黒田武士顕彰会メンバー

瀬戸内市長船町は中世鎌倉時代には政治、経済の中心地として備前国で最も栄えた町で、時宗開祖の一遍上人が教えを広めたことでも人口に膾炙されている。また備前国は古くから優れた刀剣を数多く産出した地としても知られ、現在国宝に指定されている111口の実に4割に当たる44口が「備前刀」として鑑賞されている。そのうち最も名高いブランドが「備前長船」である。

今回の旅の目的は、備前長船の1口で戦国武将上杉謙信・景勝親子の愛刀「山鳥毛だった。これまた国宝「上杉家文書」に〝山てうまう〟と記され、激しい刃文が山鳥の羽毛のようだからとか、山野が燃えるようであるからと命名された国宝。私たちは、幾多の変遷を経て個人所有から岡山県立博物館(岡山市)に寄託されていた山鳥毛を本来の産地に戻すことに成功した「里帰りプロジェクト」について学びたかったのだ。

聞くと、プロジェクトは3年前に瀬戸内市長自らが先頭に立って設立したそうで、そこには世界に誇れる美術品を公の財産とすることで市民の文化継承の気運と誇りを醸成し、さらには刀工の作刀意欲を高めて地場産業基盤を強化しようとの思いがあったとのこと。必要経費は取得額5億円に施設整備費1300万円と膨大であったが、クラウドファンディングを実施した結果、予想を覆す8億8千万円もの厚意が集まったいうから驚いた。さらに取得した山鳥毛を刀剣博物館に展示したことで、市内外から多くの観光客が訪れるようになっている。

今、顕彰会もCF手法により「官兵衛公銅像建立」を検討している。大いに教示された旅であった。
(文・播磨の黒田武士顕彰会会長 山下博文)

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