書写で全身緑色に染めてみて

コラム

書写山円教寺

姫路市北西に位置する書写山圓教寺は西の比叡山と呼ばれる名刹。この度、1千年以上続く圓教寺の歴史で初めて、第258世天台座主に前住職の大樹孝啓師が就任された。97歳での就任というのも驚きだが、恙なくお勤めであると聞き、我ら凡夫との差を痛感している。

天台座主は比叡山延暦寺の代表者であり、天台宗のトップということ。平安時代の仏教各宗派の開祖はほとんどが比叡山で学んだことから、比叡山は日本仏教の母山とも言われ、その意味では天台座主は日本仏教界の頂点と同義。過去には皇族や足利将軍家から就いたこともあり、そうした役職に播磨出身の高僧が選ばれたことは誠に誇らしい。

播磨出身の天台座主は過去にもおられる。比叡山宗教サミット(世界宗教者サミット)を創始した第253世山田惠諦座主は揖保郡太子町の出身である。また東大寺別当、華厳宗管長をされた清水公照師も書写山麓の出身で、師の書や陶芸を展示しているのが書写の里・美術工芸館だ。

最近、書写山ロープウェイ山上駅に展望デッキ「ミオロッソ書写」、山麓駅近くに「手仕事喫茶 御座候」がオープンし、書写界隈は連日、多くの人で賑わっている。5月3日から5日には、恒例の新緑まつりも開催され、圓教寺の重要文化財特別公開や美術工芸館では鳥取市との姉妹都市提携50周年記念の特別展も開かれる。
初夏の一日、全身が緑色になるぐらい書写山を味わいに出かけることをおすすめしたい。
(文・ASハリマアルビオン取締役・村瀬利浩)

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