感染症より怖い「薬剤耐性(AMR)」という脅威 姫路赤十字病院で講演会

社会・行政

 抗菌薬が効かないAMR(薬剤耐性)問題について、勉強会が2月27日、姫路赤十字病院(姫路市下手野)で開催された。英国政府AMR特使のデイム・サリー・デービス教授が「薬剤耐性(AMR)問題とメディカルサイエンス分野のキャリアの重要性」と題して講義した。
 現在、世界中で問題となっているAMRは静かに進行する「サイレントパンデミック」とも言われる。抗菌剤の軽はずみな服用や食肉経由の摂取で、大手術をする際などに肝心の薬剤が効かず、細菌感染して亡くなる可能性があることから、早急に対策をしなければ2050年までに毎年1千万人の命が失われると専門機関が警鐘を鳴らしている。
 同市は、2021年9月に市内で開催された「WHO西太平洋地域委員会」でデイム・サリー教授がAMRについてオンライン講演したことが縁となり、翌年2月に日本の自治体では初となる「AMR対策推進のまち」を宣言。以降、医療従事者向けセミナーや各種イベント会場での啓発活動など、AMR対策に積極的に取り組んでいる。
 今回の勉強会は、同市の取り組みに賛同したデイム・サリー教授が、日本の医師の卵たちに直接語りかけたいと英国大使館を通じて打診したことで実現したもので、同市は、市内有数の基幹病院で感染症指定病院でもある姫路赤十字病院を選び、若手医師や研修医、看護学生ら160人に受講してもらった。
 デイム・サリー教授は、AMRでHIVの80万人を大きく上回る120万人が年間で死亡していることや、特に貧困国で問題が深刻で、死亡者の5人に1人が5歳以下であることなどをつぶさに紹介。「AMRを克服するには若手の声が必要。この脅威の認知度を高めるのに手を貸してほしい」と呼びかけた。

デイム・サリー教授(左から2番目)は講義の前に姫路市の清元秀泰市長や同病院の岡田裕之院長らと意見交換も実施。「市長が医師であることは心強い」と話していた。

 

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