【新時代に挑戦 vol.22】香寺ハーブ・ガーデン

新時代に挑戦

「観光振興や就労支援にも挑戦したい」
姫路『香寺ハーブ・ガーデン』創業者

 姫路市北部に広がる農山村地域で、多種多様なハーブを専門的に扱う「香寺ハーブ・ガーデン」(同市香寺町矢田部)。農薬や除草剤を使用せず、自然に近い状態で栽培したハーブを原材料に、お茶や菓子類だけでなく、ハーブの効能を生かしたオリジナル石鹸やシャンプー、精油といったボディケア用品まで製造・販売するハーブ園だ。
 開園は1984年。20年にわたる闘病の末に他界した父が夢見ていたレストラン経営を実現しようと、大学を卒業して大手物流会社の経理部門に勤めていた福岡譲一さん(65)が、当時26歳で一念発起して起業した。
 しかし、当時の福岡さんにはハーブの知識が皆無。国内に2か所しかなかったハーブ園を両方訪ねて教えてもらうだけでなく、世界中から1千冊以上の専門書を買い集め、ついには実地研修も必要だと無一文に近い状態で本場フランスへと渡った。

お菓子やボディケア商品が並ぶ「香寺ハーブ・ガーデン」

 ところが、当時のフランスの一般家庭ではハーブティーがあまり飲まれておらず、欧州=ハーブ大国という観念はマスコミが作り上げた虚像だったと気づかされることに。やがて所持金が尽き、見知らぬ田舎町での野宿生活で息絶え絶えのところをペンション経営のマダムに救ってもらう。さらにこの女性、親切なことに福岡さんにハーブのイロハを伝授し、なんと帰国費用まで工面してくれたのだった。後年、再度フランスへ渡り、感謝の意を伝えたことは言うまでもない。

「香寺ハーブ・ガーデン」福岡譲一社長

 福岡さんは苦労の連続の末、2001年に法人を設立。大学教授との産学協同研究では、ハーブから色素やアロマ、機能成分を取り出す抽出技術の開発に成功した。また、自然の力の偉大さを知れば知るほど食の安全への関心が大きくなり、2016年には山村の幼稚園舎跡を活用して農家レストラン「且緩々(しゃかんかん)」を開業。”医食同源”(バランスのとれた食事で健康を保つ考え方)の実践にも取り組んでいる。
「ハーブを軸に、今後は過疎地域の観光振興や就労機会創出にもチャレンジしたい」と話す福岡さん。大いなる自然の恵みで人々の健康で幸せな生活を実現することが願いだ。

株式会社 香寺ハーブ・ガーデン
姫路市香寺町矢田部689-1
Tel.079-232-7316
https://www.koudera-herb.jp

関連記事

おすすめ記事

 

 

 

社会を明るく照らす人物育成に取り組む「令和人間塾・人間学lab.」(兵庫県姫路市安田)が4月2日、講演会「ちょっとの気づきで人も企業も変われる」をイーグレひめじ(同市本町)で催す。
#人間学
#安岡正篤
#令和人間塾
#姫路市
#講演会
https://www.h-jihou.jp/society/3230/

Load More...

ランキング

  1. 1

    姫路東消防署を新築移転 アクリエ北で4年後に稼働

  2. 2

    金魚すくいで盛り上がろう! 姫路で選手権を初開催

  3. 3

    作家の林真理子さん 兵庫県佐用町で講演会

新着記事

  1. 播磨時報2022年12月21日

  2. 食糧危機から日本を考える 令和人間塾が講演会

  3. たつの市御津町が黄色に染まる 綾部山梅林麓で26日「みつ菜の花まつり」

TOP