江戸期に禁裏の御用絵師として活躍した石田幽汀が描いた「群鶴図屏風」を忠実に再現した複製品が、姫路市本町の兵庫県立歴史博物館に寄贈された。
金地を背景に、タンチョウ、マナヅル、ナベツルなど36羽の鶴を優雅な立ち姿で描いた、変化とリズムに富む作品。原本は明治期に神戸港から輸出され、米国の著名収集家バーク氏の手に渡ったが、十数年前に同氏が死去。家族からの寄贈により、現在は米ミネソタ州のミネアポリス美術館が所蔵している。
複製品は、こうした経緯から日本で鑑賞する機会がほぼ失われた日本絵画の魅力を広く伝えようと製作された。光学・デジタル技術を持つキヤノンと、金箔や表装など伝統工芸士とのネットワークを有する京都文化協会が共同で進める文化支援活動「綴プロジェクト」の一環。
両者はこれまでに葛飾北斎や俵屋宗達、尾形光琳らの作品など65点を製作し、関連する博物館や美術館、寺社へ寄贈してきた。県内への寄贈は神戸市立博物館、白鶴美術館に次いで3例目で、姫路市内では初めて。幽汀が播州明石郡の出身であることから、〝里帰り〟を願い同館が選ばれた。
絵画は光に弱く、長時間の照明を避ける必要があり、湿度管理のためガラスケースで展示される場合が多いが、複製品はこうした制約を受けにくい。寄贈式で奥村弘館長は、「海外に流出した大切な美術品を再び身近に鑑賞できることは大変意義深い」と感謝を述べた。
作品は館内1階ロビーで5月6日まで展示。その後は出前授業として県内の小中学校を巡回する計画も検討している。<2026/03/13>





