【今こそ人間学 vol.12】天網恢恢疎(てんもうかいかいそ)にして失はず

コラム

 中国の春秋戦国時代の思想家に、「無為自然」で有名な老子という人物がいます。日本人には、孔子と同様に大変親しまれている人物です。老子は、戦国の乱世に如何にしたたかに生き延びるかということを説きました。その七十三章に「天の道は争わずして善く勝ち、言わずして善く応じ、召さずして自ずから来たり、として善く謀る。天網恢恢疎にして失はず」という言葉があります。
 「天の道は何者とも争わないが、それでいてどんなものにも勝っていて、万物の願いに応じている。天の道は招かれなくても自然に求められているものである。作為的にしなくとも、ゆったりと秩序を整えてくれる。天は悪人を逃さないために大きな網を張り巡らしており、その目は粗いが、決して悪人、悪事を取り逃すことがない」という意味です。
 私たちは少し成功しただけで自分には才能があって人の何倍も優れていると思ってしまい、何をしても許されると勘違いしてしまいがちです。しかし、他人を欺いたり、騙したり、傷つけたりする悪事は、必ず自分に返ってくるのです。
 令和6年も最終章に入りました。元旦に列島を揺るがした能登沖の大地震で始まった甲辰の年は、私たち日本人にいくつかの試練と教訓を残しました。特に下半期は、国民全体がネット空間に飛び交う情報に振り回されました。今回の選挙では、誰の、何を信じていいのか迷った人が多かったのではないでしょうか。
 政治は正事でなくてはなりません。兵庫県政が一日も早く健全性を取り戻し、県民のための県政が再開されることを祈念してやみません。

(一般社団法人 令和人間塾・人間学lab. 理事長 竹中栄二)

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