世界文化遺産・国宝姫路城とチェコ共和国のプラハ城が姉妹城提携を結んだ。姫路市は近年、中欧の各都市と城を軸に友好関係の構築を進めており、今回は在チェコ日本国大使館の仲介で協議が整った。締結式は7月23日、姫路城の迎賓館に同国のペトル・パヴェル大統領らを迎えて行われた。

姫路城と姉妹城になったプラハ城(ⓒプラハ城管理局/写真:Jiři Šebek)
プラハ城は街全体が世界遺産の首都プラハにそびえる世界最大の古城の一つ。築城は9世紀にさかのぼるとされ、城内には歴代王の旧王宮やゴシック建築の傑作といわれる聖ヴィート大聖堂、ルネッサンス様式のロジュンベルク宮殿など多くの見どころがある。1918年にチェコスロバキア共和国が成立(1992年に解体)して以来、大統領の公邸となっており、1989年には共産党体制を打倒して民主化を実現した歴史的出来事「ビロード革命」の舞台にもなった。 式では、清元秀泰市長が「平和と自由、民主主義の象徴である両城で文化・芸術、産業、観光、教育など幅広い交流が広がり、先達が命がけで守り抜いてきた価値観を次世代に継承できると確信する」、パヴェル大統領が「チェコと日本、両城は地理的に離れているにも関わらず、文化価値観への尊重や職人の技への敬意、歴史を超えた物語への愛情が共通している。この物語を語り継いでほしい」と挨拶し、今後の交流に期待を寄せた。

締結式に出席したチェコのパヴェル大統領(中央)
また、式典後の歓迎会では、清元市長が締結記念事業として地元中高生20人程度をプラハへ派遣する計画を発表。「勇気と愛で多くのウクライナ避難民を受け入れている貴国で、青少年たちが何を感じてくれるか楽しみにしたい」と話すと、パヴェル大統領は「私自身も日程を調整し、ぜひプラハ城で歓迎させてもらう」と応じた。
姫路城が海外の城と姉妹提携を結ぶのは、今年5月のオーストリア・シェーンブルン宮殿に続いて5件目。<2025/08/21>